夢を追いかけて、還暦

高校生だったころ、司馬遼太郎の本をとことん読んだ。頭の中を氏の言葉・言い回しが独り歩きするほどに。暑いときは扇風機の風を浴びながら、寒いときは布団の中にもぐりながら読み漁った。

 

出会いは「竜馬がゆく」だったと思う。何でも目につくものは読んだ。そのためにオフクロに小遣いをねだり、郵便局のバイトに精を出した。

 

突然文章を書きたくなった。読むのではなく書くことをしたくなった。原稿用紙を目の前にして挑んだ。しかし、半分を埋めることなく潰えた。どうしていいかわからず、その先が見えなくなった。

 

今年還暦を迎える。再び挑戦したくなった。司馬遼太郎のあとを追いたくなったのだ。同じことはできなくても少しでも近づきたい。夢は見たもん勝ち、と繰り返し自分に言い聞かせてきた。今やらなくていつやるのか。